有限会社は設立不可?株式会社との違いと、いま存在する法人の種類

街では「有限会社」と書かれた看板を目にすることもありますが、これから会社を作る際に、有限会社を設立することはできません。

本記事では有限会社の概要と株式会社との違い、そして現在存在する法人形態の種類について解説します。

有限会社とは

有限会社は、2006年4月30日までは設立することができた法人形態です。

会社法が施行される以前は、株式会社の設立には資本金1,000万円以上、取締役3名以上必要であり、現在よりも会社を立ち上げるハードルは高かったです。

それに対し有限会社の設立条件は、資本金300万円と株式会社よりも低く、取締役は最低1名からとなっていたため、小さい規模で事業を開始する場合には有限会社が選択肢となっていました。

2006年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社の設立はできなくなりましたが、施行日前から存在する有限会社は、例外的に継続が認められています。

執筆時点で有限会社を設立できなくなってから16年以上経過しているため、有限会社の法人形態というだけで会社が長期的に経営されているのかがわかります。

株式会社との違いと有限会社が廃止した理由

有限会社は株式を発行するわけではないため資金調達方法は限られており、旧制度では比較的容易に設立できたことから、社会的信用力は株式会社よりも低いです。

また小さい規模でも会社を設立できるように制度設計されていたため、従業員数は50人以下の制約など、両者には違いがありました。

しかし株式会社は、会社法の施行で資本金1円から設立することが可能となり、取締役の人数も3名以上から1名以上に引き下げられるなど、株式会社を設立する敷居は低くなりました。

株式会社であれば従業員数の制約もありませんので、有限会社と株式会社を区別する必要性が乏しくなったため、会社法施行のタイミングで有限会社は廃止され現在に至ります。

いま存在する有限会社は「特例有限会社」として存続が認められており、特例有限会社は株式会社の形態の一つとの扱いですが、有限会社の特徴がそのまま残されている部分もあります。

たとえば有限会社の文字を使用した商号は引き続き使用できますし、株式会社で必要な決算書の公告義務は、特例有限会社にはありません。

会社法施行以後の法人形態の種類

現在設立できる会社は、株式会社と持株会社の2つに分類され、持株会社は「合同会社」・「合名会社」・「合資会社」の3形態が存在します。

株式会社

株式会社は、出資者と経営者が分離しているのが特徴の法人です。

会社は資金調達をするために株式を発行することが可能で、調達した資金により事業を行いつつ、発生した利益は株主へ還元する仕組みとなっています。

出資者を募ることができれば、経営者に資金が無くても事業を開始できる反面、株主総会の開催し、株主からの意見を聞かなければなりません。

また設立費用は法人形態の中でも最も高く、活動中は決算公告が必要になるなど、継続的な費用も発生します。

合同会社

合同会社は、出資者と経営者が同一人である法人をいい、出資者全員が有限責任社員なのが特徴です。

有限責任社員は、会社が倒産した際に残っている債務について、出資した範囲を上限として責任を負うことになります。

債務を背負うことになれば出資したお金は返ってきませんが、負債の上限は出資額となるため、倒産によるリスクを抑えることができます。

株式を発行しての資金調達をできないほか、株式会社よりも知名度が低いのが合同会社のデメリットです。

しかし設立費用は安く、出資者と経営者が同一人なのでスピーディーな経営を行えるメリットもあるため、法人を立ち上げる際は合同会社も有力な選択肢です。

合名会社

合名会社は、出資者と経営者が同一人であると同時に、出資者全員が無限責任社員となります。

無限責任社員とは、会社が倒産した際に残っている債務を債権者にすべて返済する責任がある立場をいいます。

会社の負債総額が大きければ、個人保有の資産をすべて充てたとしても完済することは難しく、最悪の場合、自己破産も検討しなければなりません。

株式会社よりも設立費用が安いメリットはある一方、合同会社と比べると無限責任のデメリットが大きいため、合名会社として会社を設立する利点は乏しいです。

合資会社

合資会社は、他の持ち株会社と同様、出資者と経営者が同一人の法人です。

設立するためには、有限責任社員と無限責任社員が最低1名ずつ必要となるため、1人で立ち上げることはできません。

株式会社と比較した場合、設立費用が抑えられる点や、経営の自由度が高いメリットがあります。

しかし有限責任社員のみで構成される合同会社が創設されたことにより、無限責任社員が存在する合資会社で会社を立ち上げるメリットはほとんどありません。

まとめ

有限会社は2006年以前に設立された法人を意味しますので、社会的信用力が株式会社よりも低かった有限会社の看板が、現在では事業実績を示す指標の一つになっています。

現行法の株式会社は、有限会社よりも設立条件が緩和されているため、有限会社が廃止されたことによる不都合はありません。

合同会社は、株式会社よりも設立費用を抑えられるなどのメリットもありますので、事業内容に合わせて設立する法人形態を決めてください。

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