運送業の外注費と給与の違い|偽装請負・追徴を避ける区分とドライバーの経費を税理士が解説

監修税理士 小澤哲二

監修:税理士法人小澤事務所 京都事務所 代表税理士 小澤 哲二(認定経営革新等支援機関/freee認定アドバイザー5つ星(最高ランク))
最終更新日:2026年8月8日

「委託ドライバーへの支払い、“外注費”で処理してるけど大丈夫?」——ドライバーに外注する運送・配送業、そして個人の軽貨物ドライバーの方へ。
運送業は委託ドライバー・傭車への外注が多い業種。ですが、その支払いが「給与」か「外注費」かで、源泉徴収・社会保険・消費税が変わり、間違えると税務調査で追徴に。加えて個人ドライバーの経費も「どこまでOK?」と迷いがち。この記事で、両方の要点を3分で整理します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 委託ドライバー・傭車に外注費を払っている
  • その支払いが「給与」か「外注費」か自信がない
  • 個人の軽貨物で、経費をどこまで入れていいか知りたい
【結論】 給与か外注費かは、「契約書の名前」ではなく“働き方の実態”で判断されます。専属で指揮命令の下にあれば、「外注費」で処理しても給与と認定され、源泉徴収漏れ・消費税の控除否認・社会保険の遡及に。一方、個人ドライバーの経費は「運送のために必要か」で判断し、燃料・車両・保険などを漏れなく計上します。

給与と外注費は、何が違う?

給与(雇用)外注費(委託)
社会保険加入(会社負担あり)加入なし(本人が国保等)
源泉徴収給与から源泉徴収原則不要
消費税不課税(控除できない)課税仕入(インボイスがあれば控除可)
指揮命令・時間拘束あり(シフト・指示)なし(独立して業務)
車両・道具会社が用意本人が用意することが多い

運送業でよくある「実態は給与」パターン

次のような実態が強いほど、外注費でも「給与」と判断されやすくなります。

  • 毎日決まった時間に出勤・点呼し、勤怠を管理している
  • ルート・順序・休憩まで細かく指示している
  • 車両・制服・端末をすべて会社が用意している
  • 報酬が「日建(日給)」で、成果ではなく時間で決まる
  • 他社の仕事を事実上受けさせていない(専属)

これらに当てはまるのに外注費処理をしていると、源泉徴収漏れ・消費税の控除否認・社会保険の遡及のリスクがあります。

委託ドライバーのインボイス

委託ドライバーがインボイス未登録(免税)だと、あなた(課税事業者)が払った外注費の消費税を全額は控除できません。ただし経過措置があり、控除できる割合は年々ゆるやかに下がります。数字を覚える必要はなく、「未登録先は少しずつ負担が増える」とだけ押さえればOKです。

期間未登録先への支払いで控除できる割合
〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日〜控除できない

※「登録しないなら一方的に値下げ・打ち切り」は独占禁止法・下請法上の問題になり得ます。交渉は慎重に。あなた自身が簡易課税・2割特例なら、相手の登録有無を気にしなくてよい場合もあります。

個人ドライバーの経費はどこまで?

個人の軽貨物ドライバーは、「運送のために必要な支出」を経費にできます。代表的なものは次のとおり。

  • 燃料費・高速代・駐車場・タイヤ:運行に不可欠な経費。
  • 車両(減価償却・リース)・車検・整備・保険:事業で使う割合を計上。
  • 通信費・スマホ・配送アプリ:事業利用分を按分。
  • 作業着・軍手・備品:業務に使うもの。

※自家用と兼用の車・スマホは、事業で使う割合だけを経費に(按分)。走行記録・領収書を残すと安心です。

よくある質問

Q. 契約書を「業務委託」にすれば外注費で大丈夫?

いいえ。名前ではなく実態で判断されます。契約書と実際の働き方がそろっていることが重要です。

Q. 委託ドライバーが全員インボイス未登録です。

取引をやめる必要はありません。経過措置の範囲で控除しつつ、単価・区分管理・自社の課税方式で無理なく調整します。

Q. 車のローンやリースは経費になりますか?

車両は減価償却、リースはリース料、ローンの利息は経費です。買い方で扱いが変わるため、事前に確認しましょう。

京都で20年、運送・軽貨物・配送業を含む多業種で累計6,000件超の相談実績。freee認定アドバイザー★5つ(最高ランク)/認定経営革新等支援機関。委託ドライバーの給与区分・社保・インボイス・経費の整理を得意としています。
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