建設業・一人親方は「いくらから法人化」すべき?|元請の信用・許可・節税のタイミングを税理士が解説

監修税理士 小澤哲二

監修:税理士法人小澤事務所 京都事務所 代表税理士 小澤 哲二(認定経営革新等支援機関/freee認定アドバイザー5つ星(最高ランク))
最終更新日:2026年7月30日

「一人親方でやってきたが、そろそろ法人化した方がいい?」——大工・とび・内装・塗装・電気・設備など、建設業の職人・工務店の方へ。
建設業の法人化は、税金だけの話ではありません。元請との取引・建設業許可・社会保険・融資——仕事を広げ、信用を得る“器”として法人が効いてきます。この記事では、京都で建設業を数多く支援する税理士が、「あなたの場合、いつ・どう法人化すべきか」を3分でわかるように解説します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 一人親方・個人事業で、利益が安定して残るようになった
  • 元請から「法人にしてほしい」と言われた/大きい現場を受けたい
  • 建設業許可・社会保険を整えて、事業を広げたい
【結論】 目安は、利益(所得)で年600万円前後。これを超えると税負担で法人が有利になりやすく、役員社宅・出張日当・小規模企業共済などの手残りの残し方も使えます。加えて建設業は、元請の取引条件・建設業許可・社会保険・融資を考え始めたら法人化のサイン。法人の方が、大きい現場・元請取引・資金調達のすべてで前に進めます。

なぜ建設業は「法人化で仕事が広がる」のか?

  • 元請の信用:「法人としか契約しない」元請・ゼネコンの現場に入りやすくなる。
  • 税率・分散:所得が大きいほど法人が有利。役員報酬で給与所得控除も使える。
  • 消費税の2年免税:新設法人は原則2期、消費税が免除(条件あり)。
  • 融資が受けやすい:材料・外注の立替が多い建設業は、法人の方が運転資金を調達しやすい。

いくらから?——判断の目安

年間の利益(所得)法人化の目安
〜400万円個人のままが有利なことが多い
400〜600万円事情次第(元請取引・許可・融資で前倒しも)
600〜800万円法人化を具体検討するゾーン
800万円〜法人化メリットが出やすい

※「売上1000万円」も節目(消費税の課税ライン)。ただしインボイス登録済みなら関係が変わります。元請の要請・許可・融資の予定があれば、利益額に関わらず早めの検討がおすすめです。

建設業ならではの、4つの判断ポイント

① 元請の信用・取引の広がり

法人化で、法人としか取引しない元請・大きい現場に入りやすくなります。単価・支払い条件が改善することも。

② 建設業許可は“取り直し”になる

個人で取った建設業許可は、法人にそのまま引き継げません(新規で取り直し)。500万円以上の工事を請けるなら許可が必要。法人化のタイミングと許可はセットで計画しましょう。

③ 社会保険への加入

建設業は社会保険の加入指導が強化されています。法人化すると原則加入。現場に入る条件にもなるため、前向きに整えるのが得策です。

④ 外注(一人親方)の扱い

職人さんへの支払いが「給与」か「外注費」かで、源泉・社保・消費税が変わります。ここは税務調査の要注意点です(別記事で詳説)。

さらに、法人化で使える“お得”

税率だけではありません。個人ではできなかった仕組みが使えます。

例)役員社宅で家賃を経費に
自宅を“役員社宅”にすると、家賃の一定割合を会社の経費にできるケースがあります。年間で数十万円の差になることも。個人ではできない、法人ならではの節税です(要件・計算あり)。
  • 出張旅費規程:遠方現場の“日当”を非課税で受け取れる。
  • 小規模企業共済・iDeCo:将来の退職金を準備しながら所得控除で節税。
  • 社用車・工具・法人カード:車両・工具・現場経費を法人で管理し、資金繰りにも有利。
  • 役員退職金:法人保険なども使い、税制上有利に将来へ報酬を残す。

法人化のデメリット・注意点

  • 設立費用・毎年の決算/申告の手間(税理士に丸投げ可)。
  • 社会保険料の負担増(役員1人でも原則加入)。
  • 建設業許可の取り直し・各種届出の手間。
  • 赤字でも法人住民税の均等割(最低約7万円/年)。

よくある質問

Q. 一人親方でも法人化する意味はありますか?

あります。利益が残るなら役員報酬・社宅・共済で手残りを増やせますし、元請取引・許可・融資の準備にもなります。

Q. 元請に「法人にして」と言われました。急ぐべき?

取引継続や新しい現場が絡むなら、計画的に進める価値があります。許可・社保・消費税を含めて設計します。

Q. 建設業許可は法人化で引き継げますか?

個人の許可は法人へ引き継げず、新規取得が原則です。無許可期間ができないよう、段取りを一緒に組みます。

京都で20年、建設業を含む多業種で累計6,000件超の相談実績。創業融資の通過率はほぼ100%(初回サポート時)、freee認定アドバイザー★5つ(最高ランク)。許可・社会保険・資金繰り・融資まで伴走します。認定経営革新等支援機関です。
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