税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴と調査を回避する方法

事業を営んでいる以上、誰でも税務調査を受ける可能性はあります。

しかし税務調査の対象となりやすい業種や傾向を理解することで、調査対象者となる確率を下げることは可能です。

本記事では、税務調査の対象となりやすい事業者と、調査を回避するための対策方法について解説します。

税務調査の種類

税務署が個人事業主へ連絡してくるケースは、「実地調査」・「実地調査以外の調査」・「行政指導」の3パターンがあります。

実地調査とは、一般的にイメージされている税務調査をいいます。

税務署の調査担当者が、自宅や事務所で事業内容や申告書を作成する基となった資料を確認し、申告内容に誤りがあれば指摘します。

実地調査以外の調査とは、税務署に納税者を呼び出し、申告誤りを指摘する税務調査です。

調査項目だけを確認するために行われる調査であるため、調査担当者が自宅や事務所に訪れることは基本的に無く、実地調査よりも拘束される時間は短くすみます。

ただ実地調査以外の調査も実地調査と同様、加算税・延滞税は課されます。

行政指導とは、納税者に自主的な申告内容の見直しを促すもので、法律上の税務調査には該当しません。

自主的に修正申告書を提出すれば、過少申告加算税は課されませんが、行政指導に応じない場合、実地調査や実地調査以外の調査に移行して調査を受けることもあります。

税務調査を受けやすい業種

税務調査を受けやすい業種は、無申告や脱税が摘発されている割合が多い業種です。

経営コンサルタントや風俗関係の業種は、昔から脱税が行われていることが多いと認識されており、毎年の1件当たりの申告漏れ所得⾦額が⾼額な業種の上位にランクインしています。

また近年では、プログラマーや太陽光発電事業を手掛ける業種も税務調査で高額な申告漏れが指摘されていますので、上記に挙げた業種の方々に対して税務署は厳しい目を向けています。

国税組織が調査の重点項目としている対象者

所得税の申告件数は2,200万件を超えるため、税務署の人員的にすべての申告書が調査を受けることはありません。

ただ国税組織は人員が限られている中で効果的に成果を出すために、次の4つを重点項目として積極的に調査を実施しています。

<調査の重点項目>

  • 富裕層
  • 海外資産保有者・取引事業者
  • インターネット取引事業者
  • 無申告者
  • 所得税は所得金額が多くなるほど税率が高くなりますので、同じ計算誤りでも税率が高いほど、申告漏れの所得税額は増えます。

    富裕層が納める所得税は高額になるため、申告内容の確認の意味も含めて調査を受ける可能性が高いです。

    グローバル社会となっていく中、海外取引や海外に資産を保有する人が増えてきました。
    日本に住んでいる場合、海外で得た利益なども課税対象になることもあり、実態解明のために有効な資料情報の収集に力を入れています。

    海外投資・海外資産保有者に対して国外送⾦等調書、国外財産調書の確認を行い、租税条約等に基づく情報交換制度を活用し、申告漏れの疑いがあれば税務署は積極的に調査を実施しています。

    近年で最も力を注いでいる分野の一つが、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を⾏っている個人に対する調査です。

    「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動」とは、シェアリングビジネス・サービス、暗号資産(仮想通貨)取引、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことをいいます。

    新分野は既存の分野よりも、税制が確立していないケースや納税意識が低い納税者が多いため、税務調査の対象となりやすいです。

    納税額が発生している納税者の無申告を野放しにしていることは、⾃発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすため、無申告の調査は積極的に行われています。

    多くの無申告者に対して調査を実施するために、税務署は法定調書などを活用して情報収集をするとともに、実地調査だけでなく実地調査以外の調査を用いて、無申告者を摘発する取り組みを行っています。

    税務調査を回避するための3つの対策方法

    税務調査を受けないようにするためには、次に紹介する税務調査を回避する方法を組み合わせて、税務署に税務調査を実施する意味を無くさせることがポイントです。

    適正な申告は調査回避の必須条件

    税務調査により追徴課税を支払うことになるのは、申告内容に誤りがある場合に限られます。

    調査担当者は税務調査で回収した税金の額を実績として求められるため、追徴課税が見込めない人に対して税務調査をする可能性は低いです。

    また適正に申告していれば、税務調査を受けたとしても納税額が増えることはありませんし、加算税・延滞税を支払うことにはなりません。

    領収書・請求書は破棄せず保管しておくこと

    税務署は物的な証拠を重視する傾向があり、事業に関係のある資料等は保管しておくことが推奨されます。

    個人事業主の場合、意図的に税金逃れをしていない場合でも、経費計上が否認され、追徴課税を支払うことになるケースも珍しくありません。

    経費計上の適否判定は、経費を実際に支払っていた事実を証明できるかがポイントとなりますので、領収書や請求書は破棄せず保管してください。

    税理士関与の有無で調査を受ける確率は変わる

    税務署は効率的に税務調査を実施するため、税理士が関与していない個人事業主を中心に調査する傾向にあります。

    税理士は税の専門家ですので、一般の方よりも適正に申告書を作成できると同時に、税理士が関与しているだけで、税務調査を受ける確率を抑制できます。

    また節税の観点で考えた場合、一般の方では知らない節税方法や特例制度を活用できる点も、税理士に申告書作成を依頼するメリットです。

    まとめ

    税務調査を100%回避することは難しいですが、適正に申告するなどの対策を講じることで、調査リスクを下げることはできます。

    税務署側の立場で考えると、不正をしている可能性が低い申告書を調べても得られるものは少ないため、調査担当者に税務調査を実施する必要性を感じさせないことが大切です。

    京都市の個人事業主の税務調査対応サポートをしていますのでお気軽にご相談ください。