事業者がセーフティネットとして活用できる貸付制度の種類
日本政策金融公庫は、経営状態が厳しい事業者に対する救済措置として、融資のセーフティネットを用意しています。
セーフティネット貸付は一般の融資制度と同程度、またはそれ以上の条件で資金調達ができる制度となっています。
本記事では、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付制度の種類と概要について解説します。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付の種類
日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業事業に対する融資を積極的に行っている政府系金融機関です。
業績が悪化した事業者であっても融資が受けられるよう、3つのセーフティネット貸付を用意しています。
経営環境変化対応資金
経営環境変化対応資金は、社会や経済環境の変化により、業績が一時的に悪化した事業者の経営基盤強化を支援する目的の融資制度です。
本制度を利用できるのは、中長期的には業況が回復し、発展することが見込まれる事業者で、融資限度額や利率は国民生活事業と中小企業事業で異なります。
利率(金利)は「基準利率」が原則ですが、経営状態が悪化した要因が原材料・エネルギーコスト増などの影響によるものである場合には、さらに低い利率で融資を受けることができます。
また、国民生活事業の経営環境変化対応資金を利用する事業者は、他の融資制度を併用適用することが可能です。
無担保・無保証人を希望する事業者は、税務申告を2期以上終えていることを条件に、「担保を不要とする融資制度」と「経営者保証免除特例制度」を、設備投資を行う事業者については「設備資金貸付利率特例制度」を併用することができます。
金融環境変化対応資金
金融環境変化対応資金は、金融機関との取引状況の変化により、資金繰りが困難となった中小企業者を対象にした融資制度です。
取引金融機関が行政庁から業務停止命令を受けている場合や、実質的に経営破綻の状態等にあることが要因で、一時的に資金繰りが難しくなった際に利用することができます。
取引企業倒産対応資金
取引企業倒産対応資金は、取引企業などの関連企業が倒産したことで、経営困難になっている事業者を支援するための融資制度です。
倒産した企業に対して、50万円以上の売掛金債権を有するなどの条件を満たしている場合に利用できます。
融資限度額や利率は国民生活事業と中小企業事業で異なり、税務申告を2期以上終えている事業者が、国民生活事業の取引企業倒産対応資金を利用する場合には、「担保を不要とする融資制度」と「経営者保証免除特例制度」を併用適用することが可能です。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫は、通常のセーフティネット貸付とは別に、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の制度も用意しています。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した事業者を救済するための融資制度で、業績悪化が一時的なものであり、中長期的には業績が回復して発展することが見込まれる事業者が対象です。
融資を受けた資金は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等で必要となった設備資金および長期運転資金として活用することが求められます。
融資限度額は国民生活事業と中小企業事業で異なり、適用される利率は基準利率となっていますが、融資後3年目までの利率については基準利率より低く設定されています。
なお、新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際の担保提供は不要です。
まとめ
一般の融資制度は、経営状態が悪化している状態だと審査が通りにくいです。
しかし、セーフティネット貸付や新型コロナウイルス感染症特別貸付は、融資を受けにくい状況下でも利用できる制度となっています。
セーフティネット貸付の種類によって適用条件や、融資限度額・返済期間等は異なりますので、状況に応じて活用する制度を選んでください。
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