税理士関与割合と確定申告書の作成を依頼するメリットを解説


税理士に確定申告書の作成依頼をすると、自ら税務手続きを行う必要がなくなるだけでなく、税務調査を受ける確率を下げる効果も期待できます。

本記事では、税目ごとの税理士関与割合と、申告書作成を依頼するメリットについて解説します。

税理士が申告書作成に関与している割合【税目別】

「所得税」・「相続税」・「法人税」の申告において、税理士が関与している割合は次の通りです。

<過去5年間の税理士関与割合>

出典:令和3事務年度国税庁実績評価書
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2021/evaluation/202210ntahyokazentai.pdf

3種類の税目の中で最も税理士割合が高いのは法人税で、申告書の90%近くは税理士が関与しています。

相続税は個人が作成する申告書ですが、関与割合は85%程度と高く、基本的に税理士へ申告書作成を依頼する税金です。

所得税は、年金受給者や会社員が医療費控除や住宅ローン控除の適用など、納税者だけで申告書を作成できるケースが多いため、税理士関与割合は20%程度に留まっています。

しかし個人事業主や不動産収入がある人に限定すると、税理士関与割合は上がりますし、売上規模が大きい事業者ほど、申告書の作成依頼をする傾向が高くなります。

税理士に申告書の作成依頼をする2つのメリット

税理士に申告書の作成を依頼するメリットは、大きく2つあります。

税務手続きの作業量を減らせる

事業者は毎年確定申告をしなければなりませんが、申告書を作成する機会は1年に1度しかないため、申告手続きに慣れることは難しいです。

不慣れな作業を遂行するのは時間がかかりますし、事業が拡大すれば作成すべき書類等も増えるため、事業に当てることができる時間を確定申告手続きに費やさなければなりません。

それに対し、申告書作成を税理士に依頼すれば税務関係の事務量を減らせるので、事業者は本来の業務に専念することができます。

また税理士によっては記帳代行等も行っていますので、事業規模や経営状況に応じて依頼内容をカスタマイズすることも可能です。

税務署から申告誤りを指摘される可能性が下がる

納税者のほとんどは税の専門家ではないので、記載誤りや申告ミスが起こる可能性をゼロにするのは難しいです。

税務署は、税理士が関与していない申告書の方が申告ミスの発生確率が高いことを理解しているため、納税者が作成した申告書は税務調査の対象となりやすいです。

一方、税理士が作成した申告書は計算ミスがなく、適正な申告書が税務調査を受けることは基本的にありません。

税務調査で申告誤りを指摘された場合、本税だけでなく加算税・延滞税も納めることになります。

また事業者が税務調査で申告誤りを指摘された場合、再び調査を受ける確率が上がりますので、税務調査を受けないための対策を講じることが重要です。

税理士が申告書に関与することで税務調査を受けにくくなる理由

税理士が申告書に関与すると、次の3つの理由から税務調査を受けにくくなります

申告内容が適正であれば税務調査を実施するメリットは無い

税務調査は、申告誤りを指摘することで、本来納めるべき税金を支払わせる目的があります。

申告内容が正しければ、税務調査を受けたとしても追加で納める税金は発生しませんので、税務署が適正な申告書を調査するメリットはありません。

また、税理士は法律の範囲内での節税手段を用いますので、脱税の指摘を受けることもないです。

国税当局は申告誤りを指摘しやすい納税者から税務調査を実施する

税務署に提出される申告書は所得税・法人税・相続税だけでなく、贈与税や消費税などの税金もあります。

税務署には毎年膨大な申告書が提出されており、所得税の申告書だけでも毎年2,200万件の申告書が提出されています。

国税組織には約54,000人の職員が在籍していますが、調査担当者として活動している職員はその中の一部ですので、すべての申告書を調査することは人員的に困難です。

そのため税務署は税務調査の費用対効果を考慮し、増差税額の発生が想定される事案を優先的に調査する傾向にあります。

事業規模が同程度の場合、納税者が作成した申告書の方が計算ミス等の起こる確率は高く、税務調査の対象となりやすいです。

それに対し、税理士が関与している申告書は計算ミス等がないので、税理士が携わっているだけで税務調査の優先順位は1段階下がります。

税務署が必要とする書類を提出することができる

税務調査を回避するためには、適正申告はもちろんのこと、添付書類も重要です。

添付書類には「法定添付書類」と「任意添付書類」の2種類あり、法律上は法定添付書類が添付されていれば問題ありません。

しかし申告書の内容によっては、領収書など法定添付書類以外の書類等をチェックすることがあります。

原則として領収書などを申告書に添付する義務はありませんが、税務署が調べたい事項を確認できる書類を申告書に付けることで、税務調査の必要性を下げることができます。

税理士は申告内容等に応じて、申告書に付けた方がいい任意添付書類を把握していますので、同じ申告書の内容であっても、納税者が作成した申告よりも調査を受けにくいです。

まとめ

事業規模が大きくなると税務手続きの負担も重くなるので、税務調査を回避するだけでなく、税務関連の手続き負担を軽減する目的で税理士を活用するのも選択肢です。

税務署は税務調査に費用対効果を求める関係上、売上や利益が大きい事業者ほど調査対象となりやすい傾向にあります。

税理士は申告書作成だけでなく、節税等のアドバイスも行いますので、事業を成長させる目的で依頼することも検討してください。

京都府の税務調査対応サポートをしていますのでお気軽にご相談ください。