一人親方への外注費は「給与」? 「外注費」?|建設業の源泉・社保・インボイスを税理士が解説

監修税理士 小澤哲二

監修:税理士法人小澤事務所 京都事務所 代表税理士 小澤 哲二(認定経営革新等支援機関/freee認定アドバイザー5つ星(最高ランク))
最終更新日:2026年7月31日

「一人親方への支払い、“外注費”で処理してるけど大丈夫?」——職人に外注している建設業の経営者の方へ。
建設業は一人親方・応援への外注が多い業種。ですが、その支払いが「給与」か「外注費」かで、源泉徴収・社会保険・消費税の扱いがまるごと変わります。実態と合っていないと、税務調査で給与と認定され追徴になることも。この記事では、京都で建設業を数多く支援する税理士が、正しい区分とインボイスの扱いを3分で解説します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 一人親方・応援に外注費を払っている
  • その支払いが「給与」か「外注費」か自信がない
  • 外注先のインボイス未登録で、消費税がどうなるか気になる
【結論】 給与か外注費かは、「契約書の名前」ではなく“働き方の実態”で判断されます。実態が指揮命令の下にあれば、「外注費」で処理しても税務上は“給与”扱いとなり、源泉徴収漏れ・消費税の控除否認・社会保険の遡及につながります。建設業は社会保険の加入指導も強化中。実態に合った区分+正しい書類で整えるのが正解です。

給与と外注費は、何が違う?

給与(雇用)外注費(請負)
社会保険加入(会社負担あり)加入なし(本人が国保・労災特別加入等)
源泉徴収給与から源泉徴収原則不要
消費税不課税(控除できない)課税仕入(インボイスがあれば控除可)
指揮命令・時間拘束ありなし(独立して施工)
道具・材料会社が用意本人が用意することが多い

建設業でよくある「実態は給与」パターン

次のような実態が強いほど、外注費でも「給与」と判断されやすくなります。

  • 毎日決まった時間に集合させ、勤怠を管理している
  • 作業手順を細かく指示し、自由な裁量がない
  • 道具・材料をすべて元請側が用意している
  • 報酬が「日当×日数」で、施工の成果ではなく時間で決まる
  • 他社の仕事を事実上受けさせていない(専属)

これらに当てはまるのに外注費処理をしていると、源泉徴収漏れ・消費税の控除否認・社会保険の遡及のリスクがあります。

インボイスと一人親方

外注先の一人親方がインボイス未登録(免税)だと、あなた(課税事業者)が払った消費税を全額は控除できません。ただし経過措置があり、控除できる割合は年々ゆるやかに下がります。数字を覚える必要はなく、「未登録先は少しずつ負担が増える」とだけ押さえればOKです。

期間未登録先への支払いで控除できる割合
〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日〜控除できない

※「登録しないなら一方的に値下げ・取引停止」は独占禁止法・下請法上の問題になり得ます。交渉は慎重に。あなた自身が簡易課税・2割特例なら、相手の登録有無を気にしなくてよい場合もあります。

偽装請負・社保未加入のリスク

実態が雇用なのに外注扱いにすることは、税務だけでなく労働・社会保険の面でも問題になります。建設業は社会保険の加入指導が強化されており、現場に入る条件として加入状況を問われることも増えています。正しく整えることは、リスク回避だけでなく元請からの信用にもつながります。

正しくやるための3ステップ

① 実態に合わせて「給与/外注」を区分する

働き方の実態を確認し、給与にすべき人・外注でよい人を整理します。

② 外注は「請求書・登録番号」をそろえる

外注先から登録番号入りの請求書をもらい、未登録先はリスト化。経過措置の区分も設定します。

③ freeeで支払いと証憑を整理する

外注先ごとの登録有無・税区分をfreeeで管理すれば、控除計算が自動化でき、調査にも強くなります。

よくある質問

Q. 契約書を「請負」にすれば外注費で大丈夫?

いいえ。名前ではなく実態で判断されます。契約書と実際の働き方がそろっていることが重要です。

Q. 一人親方が全員インボイス未登録です。どうすれば?

取引をやめる必要はありません。経過措置の範囲で控除しつつ、単価・区分管理・自社の課税方式で無理なく調整します。

Q. すでに外注費で処理してきました。今からでも直せますか?

直せます。まずは現状を確認し、リスクの高いところから整理します。早めの対応がダメージを小さくします。

京都で20年、建設業を含む多業種で累計6,000件超の相談実績。freee認定アドバイザー★5つ(最高ランク)/認定経営革新等支援機関。一人親方への外注費・給与区分・社保・インボイスの整理を得意としています。
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