法人化でデザイン料の“天引き”が消える|源泉と外注インボイスを税理士が解説
監修税理士 小澤哲二

「デザイン料、なぜか入金額が請求より少ない…」「イラストや撮影の外注、源泉やインボイスはどうすれば?」——デザイン事務所のお金まわりでいちばん分かりにくいのが、デザイン報酬の源泉徴収と、外注(イラスト・撮影・コーディング・印刷・ライター)のインボイス・源泉です。ここを外すと、資金繰りが読めなかったり、払わなくてよい消費税を負担したりします。京都でデザイン・クリエイティブ業を支援する税理士が、実務の勘どころを整理します。
- 企業・広告代理店からのデザイン料で、源泉徴収されている
- イラスト・撮影・コーディング・印刷・ライティングを外注に出している
- 外注のインボイス・源泉・契約の扱いに不安がある
① デザイン報酬は「源泉徴収」の対象です
- 受け取る側(個人デザイナー):請求額から約10.21%(100万円超の部分は20.42%)が源泉徴収され、手取りが減る。年間の源泉税額は確定申告で精算され、納め過ぎなら還付。
- 法人化すると:法人への支払いは原則として源泉徴収されません。満額が入金されるため、資金繰りが大きく改善します。
- 支払調書:源泉された金額は支払企業からの支払調書で確認できます。申告で漏れなく精算しましょう。
「デザイン」と「Web制作」で扱いが違うことも
ポスター・ロゴ・広告・パッケージなどのデザインの報酬は源泉対象ですが、単純なコーディングやシステム構築などデザインに当たらない役務は源泉対象外のことがあります。案件の中身で分かれるため、請求書の内訳の書き方が大切です。線引きは一緒に整理できます。
② 外注(イラスト・撮影・コーディング等)を払うときの源泉
- 源泉が必要になりやすい外注:イラスト、デザイン、原稿(ライティング)、写真・撮影 など。
- 源泉が不要なことが多い外注:コーディングのみ、印刷、法人への発注 など(内容で判断)。
- 源泉の徴収漏れは、後からあなた(支払者)が追徴されます。最初に区分を決めておくのが安全です。
③ 外注のインボイス(消費税)
外注先がインボイス登録しているかで、あなたが差し引ける消費税(仕入税額控除)が変わります。個人のイラストレーター・カメラマン・コーダーは免税事業者(未登録)のことも多く、その支払いは原則として消費税を差し引けません。ただし当面は経過措置で一部引けます。
経過措置(令和8年度改正で4段階に緩和)
| 期間 | 未登録先への支払いで引ける割合 |
|---|---|
| 〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月〜 | 0%(原則、引けない) |
※令和8年度税制改正で2年延長・4段階に緩和されたスケジュール(改正前は80→50→0%の2段階)。段階的に縮小し、2031年(令和13年)9月末で経過措置は終了します。付き合いの長い外注先には、早めに登録状況を確認しておくと安心です。
「給与か外注費か」の実態判断にも注意
常駐に近いデザイナー・コーダーや、指揮命令下で働く人への支払いは、契約書が「外注」でも実態が給与と判断されると、消費税の控除が否認され源泉徴収漏れ・社会保険の問題に波及します。時間拘束・指揮命令・道具の負担などで総合判断されます。
④ 受託制作の売上はいつ立てる?
着手金・中間金は受け取ってもまだ前受金。成果物の納品・検収が完了した時に売上に計上します。修正対応が続く案件や決算をまたぐ案件は、どの期に売上を入れるかで税額が変わるため注意が必要です。継続的な著作権の二次利用料は、発生のつど計上時期を確認します。
⑤ よくある質問
Q. デザイン料はいつも源泉徴収されますか?
支払者が源泉徴収義務者(法人・一定の個人事業主)なら、デザインの報酬は源泉対象です。相手が一般の個人・小規模事業者の場合など、源泉されないこともあります。法人化すれば原則として源泉されません。
Q. イラストレーターへの支払い、源泉を引き忘れました。どうなりますか?
徴収漏れは支払者(あなた)が後から納付・追徴の対象になります。早めに区分を整え、必要なら相手と精算します。最初のルール決めが肝心です。
Q. 外注先が免税事業者です。取引をやめるべき?
やめる必要はありません。いまは経過措置で一部控除でき、価格交渉や登録のお願いなど選択肢があります。一方的な取引停止・報酬減額は下請法等の問題になり得るので、進め方を一緒に設計します。
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※本記事は一般的な解説です。個別の判断は最新の税制改正・個社の状況により異なります。実際の判断は無料相談でご確認ください。



