建築設計事務所・建築士は「いくらから法人化」すべき?|節税と手残り設計を税理士が解説

監修税理士 小澤哲二

監修:税理士法人小澤事務所 京都事務所 代表税理士 小澤 哲二(認定経営革新等支援機関/freee認定アドバイザー5つ星(最高ランク))
最終更新日:令和8年8月9日

「設計の仕事が順調。そろそろ法人化した方がいい?」——建築設計事務所・一級/二級建築士の方へ。
設計事務所は仕入れも在庫もなく利益率が高く、少人数で回せるのが特徴。だからこそ法人化による節税・手残りの効果がとても大きく、元請・工務店・官公庁との取引や設計監理の受注で法人の信用も効きます。この記事では、京都で建築設計・建設・クリエイティブ業を数多く支援する税理士が、「あなたの場合、いつ・どう法人化すべきか」を3分でわかるように解説します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 個人で設計・監理を請け、利益が残るようになった
  • 高い所得税・住民税に「もっと手元に残せないか」と感じている
  • 受注拡大・スタッフ採用・元請/官公庁との取引を広げたい
【結論】 設計事務所は利益率が高いため、利益(所得)で年600万円前後から法人化を具体的に検討するのが目安です(他業種より早めに効いてきます)。法人化すると役員報酬の分散・役員社宅・小規模企業共済・退職金など“個人ではできなかった手残りの残し方”が使えます。さらに元請・工務店・官公庁との取引の信用が上がり、受託設計の売上計上や外注のインボイスも設計のカギになります。

なぜ設計事務所は「法人化で得」しやすいのか?

  • 利益率が高い:仕入れ・在庫がなく、売上がほぼ利益。所得税は累進で重くなりやすく、法人化の効果が出やすい。
  • 役員報酬で分散:自分への給与を経費にでき、給与所得控除も使える。家族へ適正な給与も可能。
  • 消費税の2年免税:新設法人は原則2期、消費税が免除(条件あり)。
  • 信用・取引の広がり:法人としか取引しない大手・元請・官公庁の設計業務が取りやすい。

いくらから?——判断の目安

年間の利益(所得)法人化の目安
〜400万円個人のままが有利なことが多い
500〜600万円利益率が高いので具体検討ゾーン(早め)
600〜800万円法人化メリットが明確に出やすい
800万円〜早く法人化するほど有利なケースが多い

※「売上1000万円」も節目(消費税の課税ライン)。受託設計の売上計上や外注のインボイスなど、設計事務所ならではの論点があります。実際は役員報酬の設計次第で最適タイミングが前後します。

設計事務所ならではの、4つの判断ポイント

① 高粗利=法人化のメリットが大きい

経費が少ない設計事務所は「利益がそのまま課税される」構造。だからこそ、役員報酬・社宅・日当・共済の設計で手残りを大きく増やせます。

② 受託設計・監理の売上計上

着手金・中間金は前受金、設計や監理が完了した時に売上。決算をまたぐ案件は税額がぶれやすく、注意が必要です。

③ 外注(パース・CAD・構造計算・設備設計)のインボイス

外注が多いほど、相手の登録有無で消費税の負担が変わります(経過措置あり)。給与か外注費かの実態も要注意です。

④ 建築士事務所登録・管理建築士

個人の建築士事務所登録は法人へそのまま引き継げず、新規登録・管理建築士の要件が絡みます。法人化と登録の段取りをセットで計画しましょう(許認可は提携の専門家と連携)。

さらに、法人化で使える“お得”

税率だけではありません。個人ではできなかった仕組みが使えます。

例)役員社宅で家賃を経費に
自宅を“役員社宅”にすると、家賃の一定割合を会社の経費にできるケースがあります。自宅を設計・打合せに使うことの多い建築士と相性がよく、年間で数十万円の差になることも(要件・計算あり)。
  • 出張旅費規程:現場・打合せ・出張の“日当”を非課税で受け取れる。
  • 小規模企業共済・iDeCo:将来の退職金を準備しながら所得控除で節税。
  • PC・CAD・書籍・法人カード:ソフト・機材・専門書の経費を法人で管理し、資金繰りにも有利。
  • 役員退職金:法人保険なども使い、税制上有利に将来へ報酬を残す。

法人化のデメリット・注意点

  • 設立費用・毎年の決算/申告の手間(税理士に丸投げ可)。
  • 社会保険料の負担増(役員1人でも原則加入)。
  • 建築士事務所登録の新規取得・各種届出の手間。
  • 赤字でも法人住民税の均等割(最低約7万円/年)。

よくある質問

Q. 一人で設計をしていても法人化する意味はありますか?

あります。むしろ一人ほど、役員報酬・社宅・共済の設計で手残りを大きく増やせます。元請・官公庁との取引も広がります。

Q. 着手金・中間金はいつ売上に?

受け取った時は前受金、設計や監理が完了した時に売上です。決算をまたぐ案件は特に注意します。

Q. 建築士事務所登録は法人化で引き継げますか?

個人の登録は法人へ引き継げず、新規登録・管理建築士の要件などが必要です。無登録期間ができないよう段取りを一緒に組みます。

京都で20年、建築設計事務所・建設・クリエイティブ業を含む多業種で累計6,000件超の相談実績。創業融資の通過率はほぼ100%(初回サポート時)、freee認定アドバイザー★5つ(最高ランク)。設計事務所の法人化・役員報酬・受託設計の会計・外注のインボイスを得意としています。認定経営革新等支援機関です。
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※本記事は一般的な解説です。個別の判断は最新の税制改正・個社の状況により異なります。実際の判断は無料相談でご確認ください。

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