受託設計の売上はいつ立てる?|着手金・前受金と外注インボイスを税理士が解説【建築設計事務所】

監修税理士 小澤哲二

監修:税理士法人小澤事務所 京都事務所 代表税理士 小澤 哲二(認定経営革新等支援機関/freee認定アドバイザー5つ星(最高ランク))
最終更新日:令和8年8月9日

「着手金をもらった月に、もう売上に立てていいの?」「パースや構造計算の外注費、消費税で損してない?」——建築設計事務所・建築士の会計で、いちばん税額がブレるのが受託設計・監理の“売上をいつ立てるか”と、外注(パース・CAD・構造計算・設備設計)のインボイスです。ここを外すと、決算をまたいだ案件で思わぬ利益・税額が出たり、払わなくてよい消費税を負担したりします。京都で設計事務所・建設・クリエイティブ業を支援する税理士が、実務の勘どころを整理します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 着手金・中間金・完了金と、分割で報酬を受け取っている
  • 設計・監理案件が決算月をまたぐことがある
  • パース・構造計算・設備設計・CADを外注に出している

① 受託設計・監理は「いつ」売上に立てるのか

【結論】 お金を受け取った時ではなく、設計業務や監理業務が“完了・引き渡し”された時に売上を計上します。着手金・中間金は、受け取ってもまだ「前受金」です。
  • 着手金:契約時に受領 → 前受金(負債)。売上にはしない。
  • 中間金:基本設計・実施設計の区切りで受領 → 原則まだ前受金。ただし業務が段階完了する契約なら、その段階の完了で対応部分を売上に。
  • 完了金:成果物の引き渡し・検収時 → ここで残りを売上計上。
  • 監理報酬:工事期間にわたる役務。期間に応じて按分計上するのが基本。

決算をまたぐ案件がいちばん危ない

「着手金だけ入って、設計はまだ途中」で決算を迎えたのに、入金額を全部売上にしてしまうと利益・税額が過大になります。逆に、完了・引き渡し済みなのに入金待ちで売上を立てないと計上漏れ。決算をまたぐ案件は、「どこまで業務が進んだか」で線を引くのが正解です。工期の長い監理は特に按分の考え方が効きます。

② 外注(パース・構造・設備・CAD)のインボイス

【結論】 外注先がインボイス登録しているかで、あなたが差し引ける消費税(仕入税額控除)が変わります。未登録の外注が多いほど、あなたの納税額が増える可能性があります。

設計事務所は、パース・構造計算・設備設計・CADオペ・模型などを個人の外注に出すことが多い業態です。相手が免税事業者(インボイス未登録)だと、原則としてその支払いにかかる消費税を差し引けません。

経過措置(いまはまだ一部引ける)

期間未登録先への支払いで引ける割合
〜2026年9月30日80%
2026年10月〜2028年9月30日70%
2028年10月〜2030年9月30日50%
2030年10月〜2031年9月30日30%
2031年10月〜0%(原則、引けない)

※令和8年度税制改正で2年延長・4段階に緩和されたスケジュール(改正前は80→50→0%の2段階)。段階的に縮小し、2031年(令和13年)9月末で経過措置は終了します。付き合いの長い外注先には、早めに登録状況を確認しておくと安心です。

「給与か外注費か」の実態判断にも注意

常駐に近いCADオペや、指揮命令下で働く人への支払いは、契約書が「外注」でも実態が給与と判断されると、消費税の控除が否認され源泉徴収漏れ・社会保険の問題に波及します。時間拘束・指揮命令・道具の負担などで総合判断されます。区分は最初の設計が肝心です。

③ よくある質問

Q. 着手金を受け取った期に、全額を売上にしていました。まずいですか?

業務が完了していない分は本来「前受金」です。決算をまたぐと利益・税額が過大になります。過去分は状況により是正できることもあるのでご相談ください。

Q. 長期の工事監理は、報酬をいつ売上に?

工事期間にわたる役務なので、期間に応じて按分計上するのが基本です。契約内容により扱いが変わります。

Q. 外注先が免税事業者です。取引をやめるべき?

やめる必要はありません。いまは経過措置で一部控除でき、価格交渉や登録のお願いなど選択肢があります。一方的な取引停止・報酬減額は下請法等の問題になり得るので、進め方を一緒に設計します。

京都で20年、建築設計事務所・建設・クリエイティブ業を含む多業種で累計6,000件超の相談実績。freee認定アドバイザー★5つ(最高ランク)で、受託設計の売上計上・前受金の管理・外注のインボイス対応をクラウド会計でスッキリ整えます。認定経営革新等支援機関です。
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