受託設計の売上はいつ立てる?|着手金・前受金と外注インボイスを税理士が解説【建築設計事務所】
監修税理士 小澤哲二

「着手金をもらった月に、もう売上に立てていいの?」「パースや構造計算の外注費、消費税で損してない?」——建築設計事務所・建築士の会計で、いちばん税額がブレるのが受託設計・監理の“売上をいつ立てるか”と、外注(パース・CAD・構造計算・設備設計)のインボイスです。ここを外すと、決算をまたいだ案件で思わぬ利益・税額が出たり、払わなくてよい消費税を負担したりします。京都で設計事務所・建設・クリエイティブ業を支援する税理士が、実務の勘どころを整理します。
- 着手金・中間金・完了金と、分割で報酬を受け取っている
- 設計・監理案件が決算月をまたぐことがある
- パース・構造計算・設備設計・CADを外注に出している
① 受託設計・監理は「いつ」売上に立てるのか
- 着手金:契約時に受領 → 前受金(負債)。売上にはしない。
- 中間金:基本設計・実施設計の区切りで受領 → 原則まだ前受金。ただし業務が段階完了する契約なら、その段階の完了で対応部分を売上に。
- 完了金:成果物の引き渡し・検収時 → ここで残りを売上計上。
- 監理報酬:工事期間にわたる役務。期間に応じて按分計上するのが基本。
決算をまたぐ案件がいちばん危ない
「着手金だけ入って、設計はまだ途中」で決算を迎えたのに、入金額を全部売上にしてしまうと利益・税額が過大になります。逆に、完了・引き渡し済みなのに入金待ちで売上を立てないと計上漏れ。決算をまたぐ案件は、「どこまで業務が進んだか」で線を引くのが正解です。工期の長い監理は特に按分の考え方が効きます。
② 外注(パース・構造・設備・CAD)のインボイス
設計事務所は、パース・構造計算・設備設計・CADオペ・模型などを個人の外注に出すことが多い業態です。相手が免税事業者(インボイス未登録)だと、原則としてその支払いにかかる消費税を差し引けません。
経過措置(いまはまだ一部引ける)
| 期間 | 未登録先への支払いで引ける割合 |
|---|---|
| 〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月〜 | 0%(原則、引けない) |
※令和8年度税制改正で2年延長・4段階に緩和されたスケジュール(改正前は80→50→0%の2段階)。段階的に縮小し、2031年(令和13年)9月末で経過措置は終了します。付き合いの長い外注先には、早めに登録状況を確認しておくと安心です。
「給与か外注費か」の実態判断にも注意
常駐に近いCADオペや、指揮命令下で働く人への支払いは、契約書が「外注」でも実態が給与と判断されると、消費税の控除が否認され源泉徴収漏れ・社会保険の問題に波及します。時間拘束・指揮命令・道具の負担などで総合判断されます。区分は最初の設計が肝心です。
③ よくある質問
Q. 着手金を受け取った期に、全額を売上にしていました。まずいですか?
業務が完了していない分は本来「前受金」です。決算をまたぐと利益・税額が過大になります。過去分は状況により是正できることもあるのでご相談ください。
Q. 長期の工事監理は、報酬をいつ売上に?
工事期間にわたる役務なので、期間に応じて按分計上するのが基本です。契約内容により扱いが変わります。
Q. 外注先が免税事業者です。取引をやめるべき?
やめる必要はありません。いまは経過措置で一部控除でき、価格交渉や登録のお願いなど選択肢があります。一方的な取引停止・報酬減額は下請法等の問題になり得るので、進め方を一緒に設計します。
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※本記事は一般的な解説です。個別の判断は最新の税制改正・個社の状況により異なります。実際の判断は無料相談でご確認ください。



